軽いプリエでもサパテアードダメですか？／フラメンコ・オーレ！～スペイン発フラメンコ情報サイト～

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軽いプリエでもサパテアードダメですか？

【質問】

　Holla! はじめまして。最近、このHPを知りました。不定期便がとても楽しくて、一気に読んでしまいました。友繁晶子さんの人情味ある、そしてフラメンコを心から愛する情熱をひしひしと感じ、感銘を受けました。

　さて、ひとつ気になることがあります。不定期便の3回目に、

１）プリエをしてサパテアードをやってはいけない。絶対にダメだ。舞踊生命があっという間に終わるくらいに良くない。

２）力いっぱい足の練習をするのもその次くらいに重罪だ。足は力を抜いて軽くやる修業を積まないといけない。力を入れるのはその次だ。

　この2番の「力を抜いて軽くやる」ことは、自分がソロを踊るようになって初めてこの重要性を知りました。でも考えてみれば、私が最初に習った時は、力を入れてやるように言われていたので、そのクセを抜くのにかなり時間がかかり苦労しました。

　さて、問題は1番です。私は最初にプリエしてサパテアードをするよう指導されました。そして、Madridに短期留学した時、そんなにプリエしちゃいけない、と注意され、今は軽いプリエでサパテアードをしています。それでも、違うと思われますか？

　「間違った方法でやると１０年がムダになる！」とおっしゃる意味、よぉ～く分かります。私はフラメンコを習い始めて7年目です。

　いろんな壁にぶち当って、自分自身と戦っています。もし、間違った方法でやっているのなら、すぐにでも直したいと考えています。お忙しいとは思いますが、お時間のある時、よきアドバイスをお願いします。Gracias!

【先生の返答】

　お便りありがとう。プリエは軽くてもやっぱりなおすべきだと思います。ただ誤解があると大変だけど、突っ張ってやることじゃないのよ。ひざは楽に屈伸自由にしておいてやらないと。けれども、早撃ちというか、細かくて、早い足はプリエしていたら絶対にできませんよ。

　だってロジックでしょう？重心は上に持っていって脚は自由でないと余計な、無意味な重りを抱えて機関銃が打てる？男性のパンタロン姿のプロをみれば一目瞭然です。

　腰を落として足はぜったいにやってない。男と女の踊りは違うと言っても、こういうテクニックに関しては疑問の余地なしです。

　いつか、こう言った時に集中生から、アドリアンは腰を落とせとビデオで言っているが？と質問された事があるの。

　スペイン人のアーティストによくあるパターンですが、自分が踊っている時はそんなことしてないのに、教える時はまるで別の事を言っていることが多いです。彼もそうとは、ビデオを見る忍耐のない私は断言できませんが、特に男性が足の部分で腰を落としてやると、なよついてとても変なスタイルになるから、ああいう人がそれを舞台で実践しているとは信じられないな。

　ともあれ、うちの中途入学で入ってくる生徒のほとんど全員が、この、不思議な腰落とし術をどこかで徹底的に仕込まれてきて、私も本人も非常に苦しみます。

　ついでなので、うちの生徒に注意。

　石の上に登って、中腰と伸ばしを繰り返して脚を強くする運動とか、専門誌だとか色んな人の言う秘訣とか訓練、真似しないようにね。

　脚は「太くならないように」訓練しないといけないのよ。わかる？ただ強くさえなればいいってものじゃない。イノシシのように強くたって、やたらと太い脚になってしまったら後悔先に立たず。

　みんなは、そういう心配も私にしてもらうためにうちに通っているのだから、わらをも掴む気持ちでやたらな人の言う事や、あやしげな助言とか真に受けて根性ださないようにね。

　私がこういうはっきりした事をいうと困る人が出て来たりするらしいですが、私個人が正しいと信ずるレッスン法で他の方に憎悪されても仕方ないです。多くの練習生の失敗を未然に防ぐためなら私はなんでもしたい気持ちよ。何故なら私自身がかつての犠牲者だったから。

　あの時代にこんな風に導いてくれる人がいてくれたらなー、という哀切迫る思いがいつもあります。だからせめて私を頼ってくる人には惜しげなくなんでも思いつく限り、教えておいてあげたいの。

　私の生徒でなくてもご遠慮なく、またいつでもどうぞ。

【生徒からのレス】

　友繁晶子さん、生徒でない私の質問に丁寧に答えて下さってありがとうございました。フラメンコを心から愛し、誰でも受け入れられる寛大さに、また感銘を受けました。プリエの件、おっしゃる意味がよく分かりました。足を突っ張って打つのではなく、腰の位置を高く、ということだったんですね。