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ブラソとマノーしなやかに、優美に、なりたい

 【質問】

友繁先生、皆様、こんばんわ。

徒然のこの部分
>知らないうちにセビージャの流儀としてのブラソが身に染み付いてしまうみたいです。 これは、私はとても感謝しています。セビージャの特徴は、上体とブラソにあるのだもの。 ここのバイラオーラの誇りよ。
>「ヒラルダは踊る事ができない。なぜなら腕がないから」
>ヒラルダというのはセビージャのシンボルです。この塔は女性の名前がついているけれど、踊れ ない。何故なら女にとつて1番大切なのはブラソだから、という意味だそうよ。
>留学したての頃に習った比喩ね。
>.....で、ブラソ、優美にね。私の門下ならなお更。バレエで鍛えてもらって。 これと上のバレエの一件は別ものよ。

が気になって・・・。

私がフラメンコの踊りで一番魅力を感じたのは、あの(どの?)ブラソとマノです。

しなやかで、優美で、魔法のような動きが出来るようになりたいと願い、「カルロス・サウラのセビジャーナス」のビデオに釘付けになって、サパテアードの音よりも、上半身ばかりじっと見て、なんとか真似たいと思っているのですが、どうしてもああできないし、大体がビデオを見ても 目が追いつかないって言うか・・・。鏡の前で練習したりもしてるんですが、なかなかどうして・・・。

前回の集中レッスンの基礎の基礎でもご指導いただきまして、ナントか近づこうとやってみても、どうも上手く出来ているようには思えないんです。次回の集中でも「基礎の基礎」見て頂けますか?他にも出来てなさそうな事、たくさんあるんですけれど・・・。

あ゛〜、しなやかに、優美に、なりたい。


【先生の返答】

>どうしてもああできないし、大体がビデオを見ても目が追いつかないって言うか・・・。鏡の前で練習したりもしてるんですが、

コマ送りにしたらいいんじゃないの? ビデオなんか何本もダメにしたってたかが知れているし、デッキも何台買ってもかまわないくらいに 思わないと。

ああいう便利なものが出る前に苦労して身につけた私としては、うらやましいと思うな。人間の英知でできないことなんて世の中一つもないわよ。コピーだって迫力でやれば本物の入魂の修行だし、結局はどこまで情熱と工夫を重ねるかであって、ラクをしていて身につくものは何もないです。

悩んでいる人のほとんどは諦めが早く、簡単に落ち込む。だめだぁ、そんなんじゃ。細菌学者のように、物理学者のように、マリー・キュリーのように頑張らないと。 おおざっぱな人というのは舞台向きではないですよ、勿論。そういう人は客席に座ってブラボーと叫ぶ役目なのだもの。

と言う事で、張り切って挑戦してみてください。

私は腕が割りと長いので始末にとても困って、未熟な初期にはそれは努力したものよ。何日も何週間も何年でも一つの工夫を重ねるというのはそれなりに生きて行く重みとなって なかなかいいものですよ。

こういうものがあると安易に若さを取り戻したいなんて事で悩まないし。だって昔に戻るということはあの未熟にもう1度返ることでしょう?それだけはご免だ。負け惜しみでなく、もう1度下手になるのだけはなんとしても嫌ね。苦しみの連続だったような気もするし.....

もしも気やすめになるとしたらね、私はある技術を必要とする振付を考え付いてたったの1コンパスしかいらないのだけど抜群のフイニッシュで決めたいと思っている振りがあるのね。そのためにもう、3年も稽古してますここの所。たったの1コンパスだけなのに。やれたからって人は気がつかないと思う。でも、私は知っているのよ。

そこが大事なの。世界の果てまで行っても自分の目から逃れることはできない。キザに言うとこうです。乱暴に言えば誰が誉めてくれても自分は他人のように批評は甘くないです から、辛い。うーーん、正直のつもりが逆効果になってしまったかな?

気が遠くなってしまったらこう考えて。ブラソが自由になり、上体が自在になると朝起きたときに世界がばら色です。心が宙に舞い上がるくらいに幸せよ。他の何がイマイチだとしても。やる価値は大いにあるわ。しっかりね!全部本当のことよ。


【生徒からのレス】

友繁先生、本当にありがとうございます。

ブラソについて知りたかったと言うよりも、何もかもとの向き合い方について喝を入れて欲しかったのかもしれないと言う、最近の自分の甘えに赤面してしまいました。

「工夫」してませんでした。本当は情熱もちょっと足りてなかったかも・・・。でも、ぜっっったいに諦めはしません。

>世界の果てまで行っても自分の目から逃れることはできない。キザに言うとこうです。乱暴に言えば誰が誉めてくれても自分は他人のように批評は甘くないですから、辛い。 うーーん、正直のつもりが逆効果になってしまったかな?

逆効果じゃないです。本当に本当の事を仰ってくださるのってとてもありがたいことです。

三月(?)の集中レッスン楽しみにしております。それまでに少しは「しなやかで優美」に近づいている筈です。どうぞ宜しくお願いいたします。ありがとうございました。


【他の生徒からのレス】

ビデオをコマ送り!ですか・・やっぱりそうやって練習するものなのですね。

私はついフラメンコは足だ!っていうイメージがあって足ばっかりお稽古してきました。だからやっぱり上半身がかっこ悪く、これはバレエを小さいときにやっていないからだ! とかガリガリに痩せているからだ!とか勝手に理由をつけて諦めていましたけど、最初から簡単にできてたに違いないというくらいさりげなく素敵な上体で踊っている方々もきっとそうやって分析して鏡を見つめて真剣になって 工夫されてきたんですね。私もがんばります!!


【先生の返答2】

>私はついフラメンコは足だ!っていうイメージがあって足ばっかりお稽古して

足が出来ないと動けないですから、これをないがしろにしろという訳けではないですけれどね、日本では上体ができない人がほとんどですよね?舞踊なのだから全身が淀みなくできないとね。

特にフラメンコの世界では女性のブラソと上体、フアルダの粋さというものはなくてはならないものとして足よりずっと比重は重いのです。

足はやらないでこれだけで見せる人はとても尊敬されますが、その反対はあまり評価されないです。マヌエラ・カラスコのような人でさえ、セビージャではあんな足ばっかりの人! と言って非難する人は沢山いるんだもの。

誤解のないように補足しておきますが、コマ送りというのは一つの提案であって、こんな機械がない時代にも踊り手は勉強して来たのよ。一瞬にして捉える力がない人は、この手もある、という意味ですからね。

 

 

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