●2008年03月29日(土)
王立アカデミー訪問の巻き ー東洋博物館ー 俳句のゼミで 金曜の朝早くに王立アカデミーにみんなでグティエレス神父の講義と博物館見学に行く予定だと言われた。 もうずっとグティエレス神父の連絡先を訪ねてぐずぐずしていたので ロドリゲス教授が 「丁度いい、学生と一緒に講義にいらっしゃい」と言う。 またもや 俳句のゼミからついにグティエレス神父の日本文化の講義にお招きいただけることとなった。 目まぐるしいまでの人脈の速さだ。 ついに今朝、Japon y Occidente の筆者にして日本文化の権威、グティエレス神父にお会いした。 輝くような人格者で ヘレス出身のイメージ通りの明るい性格のきびきびとした先生だった。 思っていた以上にダイナミックにして力みなぎるインテリで とてもチャーミングだった。 多分75歳くらいと教授に言われていたのだけど きびきびした足取りとユーモアが絶えない語り口の軽妙さといい、いわゆる老人ではまったくなかった。 目が輝いていて曇りというものがなかった。 信仰の強さというか、人の理知の輝きに心から感動した。 1956年から15年間 日本に暮らし、 上智大学で教鞭もとられた。 在日中に美術の本を出版されいる。 スペイン語で書かれたものは 日本の文化全般についてのもの一冊 それを掘り下げた絵画とセラミックについての物が一冊 建築について掘り下げた物が一冊 侍について書かれたものがこの一月に出された。 私はこれを各二巻ずつ買い求めて 娘が独立する時に嫁入り道具として持たせようと思った。 先生の書かれた本のスペイン語が素晴らしい。 芳醇なワインのように良いスペイン語なのだ。 日本でもとかくに学者の書き物は 難解で国語としてはかなり劣悪だったりするものだけれど スペイン語でも勿論同じような現象がある。 優れた学者が必ずしも優れた書き手ではないのだ。 でもこの先生の書かれる物は 国語として一流の域に達していて しかも 行間に溢れるような情熱と日本文化への限りない憧憬と尊敬とが暖かく息づいている。 本当に素晴らしい文章なのだ。 私はページを読み進む事ができない なぜなら何度も後戻りして 味わってしまうからなのだ。 近年、こんなに心を打たれた事も珍しい。 素晴らしい出会いだった。 今日は学生も大勢いて 講義が三時間にも及んだので 後日 ゆっくりお会いしましょうと約束をして 走り書きのお電話番号を嬉しく抱いて帰路に着いた。 ああ、文化と芸術の道しるべとなる人々に幸あれ! そんな敬虔な気持ちに打たれて帰りました。 皆さんも 良い週末を! 一週間のご褒美として 楽しく過ごして下さいね。
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