●2001年04月27日(金)
【GRANJA ESCUELA】
10才の上の娘が水泳で明日から合宿に行く。 ちょうどフエリアと重ねて企画してあるところがみそだ。 セビージャ人の中にはこのセマナサンタ、フエリアで湧きかえる街を逃げ出して、バケーションを楽しむ向きも大変多いのだ。どの道学校はお休みか半休になってしまうし、仕事も公にとどこおるのだ。 こちらの子供達の臨海学校や遠足、卒業まぢかの旅行というのは面白い仕掛けがあってなかなか興味深いので書いておこうと思う。 まず、こうした催しに参加するために知り合いやご近所から何か物をいただく。人に売れるようなものだ。新鮮な卵とか、小麦粉の1キロ入り袋とか、さまざまな物だ。寄付していただくのだ。 次ぎにこれをご近所に売って行く。その、旅行に行く子にお友達が応援のために一緒について回ってやるところも麗しい。 ブザーを押して礼儀正しく、これこれの事情で私が遠足に行かれるように、是非、これこれの物をお買い求めくださいませんか?という口上で訪問して行くのだ。 私も昔、こんなかわいい訪問者から卵を売られた経験がある。その時はどういうからくりなのか良くはわからなかった。何か余程家庭にゆとりがないのかな、と思ったのだ。 自分の娘が水泳のコーチからTシャツを10枚持たされて帰って来たので驚いた。 GRANJA ESCUELAの費用にあてるためにこのシャツを売って来なさいと言われたというのだ。シャツは衣料関係のオーナーである、同じクラブの会員から、子供達に厚意で出ているという事だ。 なあるほど!なかなか麗しいではないか!そうやって自力で合宿に行きなさい、と。感心な事だ。 一枚1000ペセタで売って、10枚。 学校に持って行く。先に売り歩いてしまった子のとばっちりで娘のは一枚も売れずにしょげ返って来る。 「パパの会社に持っていってアンディ達に売りつける!」 やれやれ、と思っていたが、たまたま出かけた日にどういう訳かみんな出払っていて、またもや一枚も売れない。 道にゴザを敷いて売るしかない、と思いつめて毎日苦しんでいる様子だったが、ついに2枚だけ必死のツテで売って8枚返却の無念で終わった。 今のところ営業手腕は、はかばかしくなさそうだ。 牧場では朝から本物の牛のお乳をしぼる事から習うのだと言う。もう、寝袋を確かめたり、何ヶ月も前から揃えていたバックを繰り返しパッキングし直して興奮で眠れない。 なんだかこういう姿を見ているのは楽しい。 自分の思い出を再体現しているような気がする。 自分はいくらでも公演だ、なんだと家族を置いて行くくせに、子供が生まれて初めて何日間か家を遠く離れるというと、胸がきりりとしめつけられるのは、一体どういう訳だろうか.... さて、皆さんもスペインでたまたま子供が訪問して遠足のために...と物を売りに来たら是非買ってやってくださいね。大概は買ってやるものだから。例えあまり魅力的な商品でなくっても...
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