●2004年05月28日(金)
テイクファイブ 水曜の稽古で一旦中止して月曜から再開ということになった。 この間に衣装屋に飛び、美容院に行き、必要な小物を点検したり大変だ。 水曜の稽古で寝不足のあまり冴えなかったものだから、みんなもここは心得たもので こんな日は息抜きと親睦に少し使ってしまう。 それで稽古の合間におかしい話をどっさり聞いた。 マリオ・マジャはもう引退しているからさすがに昔の秘話なんかはもう話しても時効だ。 マリオとはさんざん組んでいたペドロ・シェラから、面白い話がぞくぞくと出て来た。 ペドロはマドリーも長いからフラメンコ界のほとんど全ての人に通じている。 バーカッショニストというのは、やるなと言ってもつい色んな効果を探し求めて 不必要なことをしてしまうらしい。 そこで、マリオのアレグリアスの最後に4回転で決まる、彼としては渋く決めたいところで パーカッショ二ストがシンパルを鳴らしたらしい。 回転し終わって、マリオは振り向きざま、 「首だ」 ははーーーみんなで大笑い。 クリストバル・レジェスは、こんな格好で踊る、本当にこうだぜ、なんて やってみせる。コンバスがみんな外れるとか言う話。信じられない有名な人なのに。 こういう話題に上らないアーティストにならないといけない、と笑いつつちょっとぞっとした。 実際、自分の仲間の尊敬を集めておけるように、常に稽古を積んでおかないと、 色んな人達と仕事をする一流の人達から「あれは酷い」、みたいに言われてしまうと致命傷になる。 20年近く前のビエナル。 ペドロ・シェラが伴奏。ミンブレが登場。すくっと立った途端にズボンの端からクリーニング屋の ホチキス止めのチケットがぶら下がって、みんなバックは笑いをかみ殺すのに死ぬ思いだったと言う。 えーーーー!!??私、気がつかなかったなぁ。 ビデオ持ってる?見てご覧よ、ぶら下がってるから。 「ミンブレと言えば.......」ホアン・オガジャが追い打ち。 出て来るなり何の間違いか照明が消えてしまった。 するとクーロ・フェルナンデスが声音で詩の朗読風に 「ミンブレ、ミンブレ、光はどこに?」 「光は....ここだ!」 言うなり照明係がミンブレを照らし出したと言う話。 みんな可笑しくて死にそうになったという。 実は私はこれを見ている。へえ、あの時ホアンも見てたのか。 これに良く似たシーンを私は別の男性の踊り手でも目撃している。 出て来るなり照明のプースに向って叫んで怒ったのだ。お客を飛び越して。 その後、光に浮かんだ彼は、癇癪のまま踊り続けた。 日本行きの飛行機と空港で、又面白い話がいっぱい飛び交う事だろう。 楽しみのようでもあり、恐ろしいようでもある。 アーティストはこのように待ち時間に人の噂をするのだ。
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