●2003年11月28日(金)
賭けてみる? 振り付けのせいで脚があざだらけになってしまった。 子供が見てびっくりしている。 クラブなんかで着替えの時に人に見られたら、どういう夫がいるのだろうと思われかねない。 しかし....コンパスが難しい。 今度の振り付けは結構苦労しそうだ。 私は人の振りをそのままやったことがないし、相手はかなり厳格に振りを決めようとする。 こうしましょうよ、と言っても本当にどうでもいいような所で信じられないくらいに頑固だ。 上体とか回転なんか勝手にさせて欲しいと思うのに、いや、それはダメ、こうしよう!!!と言う。 アンタ、女の振りにまで口出しする気? と驚いたが、どこまでも掘り下げるのだ。 なんだか可笑しくなってしまって言うこと聞いてもいいかな、と言う気分になってしまった。 ここは、こうやるのと、こうとでは全然違うよ、て拘るのだ。 右から踏み出すと(まだいい加減に仮縫いの段階だから適当にやっていると、床にかがみこんで私の足先の方向を直したりする)えーーー?、まめまめしい! こんな人初めて! ちょっと笑いたい気分になるのだけど、にやっとすると怒る。 もしもずっとこのままだったら私は最後には脱帽してもいいかな、て言う気持ちになりかかっている。 今日は来るなりはっきりさせたいことがあるんだけど、と真剣なのでなんかお金のことかな、て構えてしまった。 そうしたら昨日の私のアイディアが彼にはとても衝撃で、一日考え抜いて来たみたいなのだ。 構成について色々意見をいっぱい出した。 夜もずっと考えていたのかも知れない。 意外! 私の家は郊外にあるし、ガソリン代だけでも受け取って欲しいのに、こんなに振り付けに関与して稽古に一銭ももらいたくないと言うのだ。 他の人に振り付けるといくら取るか、私は彼の値段は知っている。 私はもともと自分のパートは何も振付けて欲しくないのだけれど、この難しいコンパスは習う価値があると思うし、一緒に仕事をするようになると勉強になることもいっぱいありそうだな、と認める気持ちになってきている。 デュオパートなんか本当に私は生まれて初めてのことだ。 いつもソロばっかり。 くっくっく....こんなに長く踊ってきてデュオが一度もないっていうのも可笑しい。 いや、あるか。 でもこういう難しいのはないな。彼との足が、必ず問答になっていて緊張する。 なんと今日は歌詞まで作詞してしまった。 私も下の句を作った。フラメンコの在来の歌詞にしないでずっとテーマを貫く事になるかもしれない。 私が日本で仕事がしにくいのは、こういう点にもある。 日本は共演のバックアーティストが私にお金を請求する。 共演なのに私だけが一方的に稽古の時間数をたがえずに全額払わないといけない。そういうシステムなのだから仕方ないとどんなに思おうとしても、どうしても慣れることができない。 スペインでは共演者との練習に私はお金を払ったことがない。 相手がどんなに輝かしい芸歴のアーティストでもだ。 その上、のぞが乾いた?食事した?コーヒーいる?とみんなで気遣ってくれるのはいつもの事だ。 仕事に行けば荷物なんかみんな運んでくれるし、家まで送ってくれるし、とにかく仲間だっていう意識で仕事ができる。 舞台の上ではいつ私が出すかも知れないサインに緊張していてくれるし。 一流の男性陣が真剣になって八個以上の目でがしっと見ていてくれるとやっぱり熱が入るし お互いの空間に電流が流れる。 何かを作ろうっていうそういう気持ちと、相手に対する芸の信頼関係はやっぱりここでないと築きにくい。私は日本のフラメンコの慣習の中に身を置くと異邦人の気分にふさぐけれど、ここだと本当に自分のグラウンドだな、と安心する。 とにかく今日は、 もっといっぱい苦労して踊りを磨きたいな、と思った。 君はコロカシォンが美しいよね、と褒めてもらった。けれどもたちどころに欠点も指摘されてしまった。うーーーーーむぅ、かなりの使い手だな、嬉しくなった。 本当に最後まで、この人はこうだろうか。 誰かと賭けたい気分だ。 豹変する方に賭ける人、いますか? 私の他に....(爆)
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