夏はフラメンコの祭典が多い。
なのにどうして皆判で押したみたいに
ビエナル、ビエナルとあの時期にひしめくだろう。
一年を通してフラメンコのプログラムが
連日何週間とか
ぎっしりしている月が
いくらでもあるのだ。
日本人が劇場に溢れかえるビエナルをむしろ避けて、
ちがう時にゆったり来てもいいのじゃないかという気がする。
夏のアンダルシアは暑くて大変だけど、
最高気温に上りつめる午後の5時前後は
こちらの習慣にならってお昼寝して、
陽射しが少し落ち着いた
7時から真夜中にかけて
第二部という風に活動開始したらいいのだ。
今、思い出したけれど、
そう言えば私は公演の時期の合間に
フリーの日がまとまって続いている時は、
ペースを落とさないために、
午後のレッスンを夜中の12時から始めていた。
こっちでは劇場は夜の9時から始まるのが常識的なのだ。
イベントは真夜中がピークだ。
野外のフェスティバルだと、
出番が夜中の2時なんてことは年中なのだ。
普段からこの時間に元気いっぱいにしておくには、
そういう時間で生活のプログラムを実行しておかないと
とんでもないことになってしまう。
眠くなってしまって
「えー!?これから踊るのぉ?
なんかどうでもよくなっちゃったなぁ...」
という具合だ。
さて、脱線してしまったけど、
お昼寝して、一日を二部に分けて、
賢く、楽しむ。
つまりこれがこの土地での夏の過ごし方だ。
陽がいつまでたっても落ちないから、
夜の10時でもまだ明るいのだ。
だからここでは、午後3時くらいまでは、
「午前中」と言い、5時前後はまだ「昼間」、
夜の10時くらいまでも「午後」と言い、
夜は11時過ぎからやっとそう呼ばれる。
小さな子供でも
真夜中過ぎまで
縄跳びなんかして笑い興じていて、
まぁ、なんて国なんでしょう!
という感想を持つかもしれない。
うちでは、子供は年間通して10時前には寝かせてしまうから、
「マミィ、まだお昼なのにどうして寝ないといけないの?」
と下の子が不思議がったりする。
外ではまだ子供のはしゃぎ声が聞こえていたりするのだ。
困ってしまう、夜なのに暗くならなくて。
また脱線。
スペインは、学校が六月から夏休みになってしまって、
たっぷり3ヶ月間の休暇なのだ。
それで今、私の横で子供が日本語の勉強をしていて、
字の書き順なんかを頻繁に聞くものだから
気がそれてしまってつい、
子供がPCの方にも登場してしまう。
ちなみに、毎朝、
日本の人気マンガを
テレビで延々とやっている。
秘密のアッコちゃんなんて、
もう、日本ではやっていないでしょう?
こっちではやっているのですよ。
どらえもんに、ドラゴン・ボール。
魔法使いサリーちゃんなんて、
私が子供の頃のマンガだ。
「よっちゃんとすみれちゃんと、どっちが好き?マミィ」
と聞かれたりして、
気がつくとさて、どっちが好きかな、
よっちゃんかな、
なんて考えている自分がいたりして、
笑ってしまうのだ。
ピカちゅうの威力もついにスペインに上陸。
まず、今年のフェリアは
ピカちゅうのオン・パレードだった。
今やどこの村のフェリアに行っても景品として
大小のピカちゅうのぬいぐるみが
派手に並んでいる。
スペインでやっているマンガのほとんどが
日本製だから
子供は学校ではばがきくらしい。
日本語でテーマソングが歌えてしまうし。
マンガは勿論スペイン語の吹き替えで放送されているから、
アッコちゃんの魔法のおまじないを
「テクマクマジャ!」と言う。
いや、これは絶対「テクマクマヤコン!」だ、
と思うのだけど...?
うちのバイリンギャル達は
「のびた君」の事も
スペインなまりで「ノビ−タ」と、
まるでセニョリータみたいに発音する。
そうかと思うと、
階段の下から
「チチューェー」「チチューエェ」
と叫んでいる。
何かと思ったら
「お父さんの事、ニンタマはそう呼んでいるんだもの」ですと。
ははぁん、父上ね!
面白いのでそのまま直さないでほうっておくと、
とんでもなく古典的な日本語を
現在も使用可能と信じ込んでしまうみたいで、
あとでちょっとあわてる。
いつだったか、
二人がけんかをしているのを小耳にはさんだら、
こんな展開になっていた。
「愚か者め!ばぁか者め!!」
「小癪なぁぁぁぁ!」